猫の世界にも『鍼治療』(鍼灸)があることを最近知りました。日本でも広まりつつあるといわれていますが、周りの人に話してみたところ、もしかしたらまだ世の中に知られていないのかな?と思いコラムに取り上げてみました。
「どんな猫ちゃんが鍼灸治療をするの?」「効果は?費用は?」など、みなさんの疑問を解決していきます。
鍼治療(鍼灸)って何?

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鍼灸は東洋医学あるいは漢方医学の1つとして、中国に起源をもつ日本の伝統的医療でもあります。
鍼灸は「はり」「きゅう」「しんきゅう」と呼ばれ、金属の細い針を疾患や症状に適したツボに1つずつ刺していきます。
または、もぐさを置いて燃焼させて刺激を与えることで、本来からだに備わっている、病気を治す力を高めて、元気にする治療法です。
なぜ鍼灸治療を選択するのか?
時にやむを得ず手術を受けなければならない状況もありますが、年齢や状態によっては手術を受けられないこともあります。そんなときに、「鍼灸」を選択する飼い主さんもいらっしゃいます。
ある獣医さんの話では、薬でも手術でもなく、別のアプローチの1つとして検討してほしい、とのこと。できるだけ身体に負担をかけずに改善したい人に向いています。
どんな症状の猫が鍼灸治療を受けるの?

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症状としては、椎間板ヘルニア、関節炎、アレルギー性皮膚炎、泌尿器疾患、腎不全など腎臓、肝臓疾患、血小板減少症、がん、高齢、回復期、終末期、虚弱体質、要介護などです。ちなみに、緊急の治療には向いていません。
鍼灸治療をするとどんな効果を期待できる?
痛みを緩和したり、血行や自律神経のはたらきを改善したりします。外科手術後に運動機能を回復することも期待できます。
例えば、高齢猫になったときに普段は調子が悪くても、鍼治療によって免疫力が上がり、長く元気に過ごせるようになるといわれています。
猫の鍼灸治療は痛くないの?
ほとんど痛みを感じていないそうです。とはいえ、豹変しないとも言い切れないので、施術する獣医師さんもリラックスできる環境を整えています。
鍼治療の時間はどのくらい?
動物病院によって変わってくるところではありますが、20分~1時間程度になります。鍼治療をしている獣医師さんいわく、さっと打って終わる病院もあるのですが、鍼を入れてから、置いて……と意外と時間がかかるものなんだそうですよ。
特に動物病院では通常の診療を行いながら、同時進行で鍼治療も行うことになるので、「完全予約制」になります。
鍼灸治療の費用はどのくらい?
料金は1回3,000円~10,000円程度になります。
同じく東洋医学(中医学)の『漢方』ってどうなの?

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西洋医学の薬とは違い、人間の漢方薬と同じように、身体に優しく副作用が少ないといわれています。すでにご存じの方もいるかと思いますが、漢方は植物の薬効をそれぞれの症状に合わせて選び、身体に備わっている自然治癒力を高めて治療していきます。飲んですぐに効く薬というわけでないのです。
どんな猫が漢方をとるの?
てんかん、ガン、皮膚病、口内炎、慢性腎不全になると、漢方を試してみてはどうか?と提案されることがあります。
その他、基礎疾患や副作用などで薬が使えない、体に負担の少ない治療がしたい、手術が難しい年齢になったときに、「せめて何かしてあげたい」と漢方を選択する飼い主さんも。「病気の予防」として処方されることもあります。
まとめ
猫の『鍼治療』や『漢方』について解説してきました。さまざまある中で、1つの選択肢として検討されてみてはいかがでしょうか。もし鍼治療や漢方薬に興味がある方は「東洋医学」「中医学」を取り入れている動物病院に相談してみてください。
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文 / ラカエス花
フリーライター