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食事や点滴のコツは?慢性腎臓病の猫と少しでも長く過ごすための7カ条


15歳以上の猫の約8割が患っているという報告もあるなど、愛猫の高齢化に伴いリスクが増してくる「慢性腎臓病」。わが家の愛猫の左側の腎臓に萎縮が見られ、初期の慢性腎臓病だと判明したのはまだ6歳のとき。大変ショックでしたが、すぐにケアを始めて丸4年。先日、無事に10歳の誕生日を迎えることができました。本記事では、慢性腎臓病について、愛猫と1日でも長く過ごすために飼い主としてできる対策や習慣についてまとめてご紹介します。予防としても参考になる内容になっていますので、愛猫を慢性腎臓病から守りたい飼い主さんにもおすすめです。

1日でも長く一緒に!

1日でも長く一緒に!

わが家の猫の状況について

はじめにわが家の猫の(ロシアンブルー メス10歳)状況について触れておきます。初期の慢性腎臓病と診断されたときには初期症状もなくいたって元気でしたが、すぐにタンパク質やリンなどを制限した療法食に切り替えました。8歳を過ぎたころから、体重減少傾向や多飲多尿、頻繁な嘔吐、脱水症状などが見られたため、血液検査の結果を踏まえて積極的な治療を開始。自宅点滴を始めました。そこから2年経ち、体重は減少傾向にありますが食欲もあり比較的健康な状態を保てています。血液検査の数値からみるステージは2です。

10歳の誕生日にプレゼントしたキャットトンネル

10歳の誕生日にプレゼントしたキャットトンネル

1日でも長く愛猫と過ごすための7カ条

自宅点滴を始めたとき、「10歳を健康な状態で迎える」ことを最初の目標にしていました。無事にクリアできたことに喜びを覚えると共に、続く11歳、12歳も元気に迎えさせてあげたいと祈るばかりです。慢性腎臓病の診断から丸4年。治療の経験を通じて学んだことを、飼い主としてできる対策や習慣としてまとめました。定期健診に加えて、私が実践しているのは次の7つです。

1.栄養バランスのいい療法食を食べさせる

残念ながら、一旦悪くなった腎臓が回復することはありません。残った腎臓機能を保護しながら進行を遅らせることが治療目的になり、その大きな役割を果たすのがタンパク質やリン、ナトリウム、マグネシウムを制限した療法食です。腎臓病用の療法食にはさまざまな種類がありますが、中でも美味しくて体に優しいもの選べると安心です。参考までにわが家では、グルテンフリーの療法食であるハッピーキャットダイエットニーレ(腎臓サポート)というフードを主に与えています。

2.水分をしっかり取らせる

慢性腎臓病の猫は、多飲多尿になります。水分を取ってもすぐにオシッコで出てしまうので脱水症状を起こさないように十分に水を飲ませることも大切です。猫さんの中にはあまり普段からお水を飲んでくれない子も多いのではないでしょうか。わが家の10歳の子も、元気なときからあまり水は飲んでくれませんでした。もう片方の猫は子猫のときから食事後には毎回しっかり水を飲む子で、こんなにも個体差があるのかと驚いたものです。

飲水を促進するためには、飲み水をこまめに新鮮なものに取り換える、ウェットタイプの療法食を取り入れるのが基本です。それでも飲んでくれない場合、奥の手とし私が独自に取り入れているのが市販のチャオちゅ~る(腎臓ケアタイプ)を5~6倍の水で薄めて与えるという方法。わが家ではチャオちゅ~るは積極的に与えてこなかったのですが、とにかく水を飲ませるために、かかりつけの獣医師に相談したうえで1日に2~3回ほどこの方法で水分を多めに取らせています。

3.毎日体重を測る

慢性腎臓病を患っている猫の場合、食欲減退やオシッコの量・頻度の増加によって、体重が落ちていってしまいがちです。食べていてもそれ以上に体重が落ちていってしまうのが腎臓病の怖い点でもあります。体重は健康のバロメーター。わが家でも体重は減少傾向にあるため、できるだけ落とさないように、10グラム単位で測れるベビースケールで毎日体重を測定しています。日々体重を測ることで、先天先手で対策を打てます。わが家でも、体重が減少傾向にあるときは、自宅点滴の間隔を少し短くしたり、カロリーが高いフードを積極的に与えたり、必要に応じて食欲増加効果のある投薬もしたりと工夫しています。

体重計の選び方のポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参考になさってください。

愛猫の体重測っていますか?体重測定は健康管理の基本!使いやすい体重計の選び方とは?

4.できるだけストレスを与えない

病気のときには猫自身、何かしらの不調を抱えているものです。普段よりもストレスが溜まりやすい状態にあると想定されますので、できるだけ穏やかに過ごさせることも病気の進行を遅らせる重要な対策のひとつだといえます。わが家の場合は、引っ越しによって愛猫の血液検査の数値が一気に悪化。適切な治療によってすぐに正常値に戻りましたが、肝を冷やしました。本引っ越しの前の仮住まいで、数カ月ほどですが少し不自由な思いをさせてしまったのが原因ではなかったかと、猛省しています。

5.療法食に固執し過ぎない

最初に述べたことと矛盾するかもしれませんが、猫さんの食欲・体重の状態によっては療法食に固執過ぎないのも大事です。療法食は塩分も控えめになっており、そんなに美味しいものではないでしょう。療法食だけを食べてくれればベストですが、慢性腎臓病が進行してくると猫の食欲にもムラがで始め、昨日まで食べていたフードに見向きもしなくなったり、食べる量が激減したりします。

実際、わが家の子も別猫のように食が細くなってしまい、体重を維持するのに苦労しています。複数の療法食を使い分けて飽きさせないようにするほか、腎臓にケアされた総合栄養食もローテーションに組み入れています。愛猫がまったく療法食を食べてくれずに体重が落ちるくらいであれば、総合栄養食を取り入れて体重を維持するほうがいいと考える獣医師もいます。慢性腎臓病の場合、体重が落ちるのはあっという間ですが戻すのには時間がかかります。努力しても思うように戻らない場合も多いでしょう。

ご参考までに、たんぱく質やリン、マグネシウム、ナトリウムなどが控えめでカロリーがしっかりある総合栄養食として、私がローテーションに組み入れているのは次の2つのフードです。

ボッシュ ザナベレ・ウリナリ―

ロイヤルカナン エイジングケアプラス ステージⅡプラス

食欲低下時の強い味方になる獣医師専用のカロリートリーツも登場しています。低リン・低ナトリウムで猫の腎臓に優しいおやつです。気になる方は、かかりつけの動物病院で取り扱っていないか確認してみてはいかがでしょうか。

※愛猫に与えるフードは、かかりつけの獣医師にご相談ください。

6.オシッコの状態も毎回確認する

慢性腎臓病では、オシッコがしっかり出ているか、量の変化や血尿がないか、しっかり確認することも大事です。特に点滴をしていると、オシッコの量はかなり増えます。トイレ掃除の頻度も増やして常に清潔な状態を保ちましょう。わが家では、こまめな掃除に加えて、月に一度トイレを丸洗いして砂も全取り替えしています。量や色が分かりやすく、検尿もしやすいという点では、システムトイレが便利です。

血尿など異常が見られた場合は、電話で相談したうえで診察を受けましょう。慢性腎臓病の場合、治療を優先してワクチンを打てないケースも多いと思います。ワクチンを打てていない場合は、車での来院であれば可能な限り待合室ではなく車内で待機してほかの病気の感染リスクを軽減させることをおすすめします。

7.愛猫との対話を心がける

適切な治療は猫の状態によって異なります。わが家の場合、投薬はなく積極的な治療として1日おきに自宅点滴をしています。皮下点滴ですので始まってしまえば5分足らずで終わりますが、針を刺している間ずっと保定されている猫のストレスは大きなものに違いありません。愛猫の協力を得ながら長く続けていくためには信頼関係の構築が不可欠です。

点滴のプロセスの中でも、私がもっとも重視しているのが点滴後の愛猫のメンタルケアです。愛猫にとっても非常に重要な時間のようで、点滴後は必ず私を空いている部屋に連れ込みます。自宅点滴を始めて2年になりますが、毎回終わった後には愛猫と二人きりになり対話。頭や体を撫でてあげながら「頑張ったね、偉いね」と声をかけ、愛猫がご機嫌になりグルグルと喉を鳴らし始めるまでは傍にいるように心がけています。

自宅点滴の方法やコツについては以下の記事で詳しく解説していますので参考になさってください。

猫の自宅点滴のメリットとは?飼い主でもできるってホント?

自宅点滴後に5分で寛ぐ様子

自宅点滴後に5分で寛ぐ様子

予防のためには定期健診やデンタルケアも忘れずに!

症状が表に出始めるのはすでに腎機能の約7割が失われたときであるとされており、定期的な検診や検尿が早期発見のカギとなります。栄養バランスのいい食事と新鮮な飲み水をたっぷり与えることに加えて、デンタルケアで歯周病を防いで発症リスクを軽減させることも大事です。

長く続く治療だからこそ飼い主ができることも多い!

慢性腎臓病では基本的に数年単位で治療が続いていきます。適切な治療によって進行を遅らせることができれば、その分だけ長く一緒にいられます。猫の病気の中には、FIP(猫伝染性腹膜炎)ように有効な治療法がなく進行も早く、飼い主の前であっという間に愛猫の命が奪われてしまうケースも存在します。

完治が望めないのは悔しい限りですが、長く続く治療だからこそ飼い主が工夫できるのりしろも多いはず。ご紹介した対策や習慣なども参考にして愛猫の健康を維持し、1日でも長く一緒に過ごしましょう!

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文/こしあんブルー
愛玩動物飼養管理士2級
キャットケアスペシャリスト