ねこラム

題名のない猫物語1


昭和44年産まれ、現在50歳。ペンネームなし!
猫歴40年以上。
猫に関する文献を読み、研究をしたことなどもないので参考になる情報をお伝えする内容ではありませんが、私と猫達との歴史を通じて皆様に何かを感じて頂ければと思います。

私と猫のはじまり

猫との交流の始まりは小学1年生の時でした。

ある日、家の庭を通り過ぎる野良猫の中で、あるオスのどら猫に興味が湧いて煮干しをあげました。
するとその猫は毎日のように庭に顔を出すようになりました。いわゆる餌付けをされたのです。

小学1年生の私は、餌が目的なのではなく私の事を気に入ってくれたのだと思い込み、はしゃいでいたのを憶えています。
食べる姿が可愛いので、家の台所からこっそりご飯になるものを探してあげたり、学校に行く前に朝ご飯の唐揚げをポケットに隠しておき、そのどら猫にあげたりしていました。それに気を取られ、よくランドセルを背負うのを忘れて学校に登校していました。

初めのうちは警戒されていましたが徐々に私たちの距離は縮まり、庭にシートを敷いて私が寝転ぶと、シートの端に丸まって一緒に昼寝をするまでの仲になりました。
それでも常に一定の間隔(30cm位)をおかれていたので、触れることはしませんでした。

そのどら猫は大きくボスのような風格を漂わせ、いつも堂々と歩いていました。
おそらくその近所のボスだったのでしょう。他の猫が庭に迷い込んできた時、恐ろしい声を出して威嚇しながら向かって行き、追い出していたのを何度か見たことがありました。常に自分の縄張りを守っていました。
白に黒の虎柄なので、私はシンプルに「トラ」と名付けました。

それから一、二年過ぎた頃、家から3km以上離れた林で、一匹のメス猫と出会いました。
逃げるかと思ったのですが、近くに寄って頭を擦り寄せてくるので、おそるおそる撫でてみました。
そして、初めて猫を抱き上げる事ができました!嬉しくて家まで連れて帰りましたが、猫嫌いの母が飼うことを許すはずもありませんでした。

土下座をしてお願いをした記憶がありますが、耳鼻咽喉科医の父は、私が喘息と猫などのアレルギーを持っていることを知っていました。願いを聞いてもらえるわけもなく、やむ無くそのメス猫を出会った林へ返しに行くことになりました。

そして翌朝のことでした。
昨日、3km離れた林まで戻したはずのメス猫が庭に入ってきて、窓の外から家を覗き込んでいるのです。
どうやってあんな遠くからここまで戻って来たのかと、驚きでした!

父母は仕方なく、庭で飼うことを条件に許してくれました。
その日から毎日、学校から一目散に帰っては一緒に遊んでいました。
その頃からか、トラは姿を見せなくなりました。

今思えば、人懐っこいメス猫に夢中だった私の様子を、庭の影から見ていたのでしょう。
薄情な子供だった私は気づくはずもなく、最近トラを見かけない、と思う程度でした。

トラは自分の縄張りに入ってきたよそ者と縄張り争いをする事もしないまま、人知れず去っていったのです。
大人になってからも時々、猫背でトボトボと歩くトラの後ろ姿を想像すると、心が寂しくなります。

つづく