ねこラム

がじゅまるの木 ~31日の看猫(かんびょう)日記~ 第七回:原因


最も飼い主を苦しめること

FIPは未だ不明点が多く、原因すら解明されていません。現段階ではストレスが原因で発症するとされています。どうにか治す術がないかと思い、FIPの治療に注力しているという県内外の様々な病院にも相談の電話をかけました。その度に聞かされた「発症原因はストレス」という説明は、最も私を苦しめました。

11月の時点でもし血液検査の異常に気が付き、避妊手術を断念していたら助かったのだろうか?

たとえキナコが生まれながら体の弱い子であったにしても、とにかく低空飛行でも何でもいいからストレスを防ぎ、もっと健康管理に気を配ってやれば、もしかすると発症を防げたのではないか。

麻酔をして開腹をともなう避妊手術は、ウィルスに侵されていたキナコには負担が大きかったのでは?

と思いつめてしまい、そんなことを院長に尋ねたりもしました。

「それは難しい問題です。避妊手術を遅らせればそれはそれでキナコちゃんの負担になっていたと思います。その時点で治療を始めておけば、ということですがそれも何ともいえません。結果として、どこかのタイミングでは発症していた可能性が高いです。多頭飼いの劣悪な環境でFIPを発症する猫もいますが、一方で一人っ子でものすごく可愛がられていた子でFIPで亡くなる子もいます。この病気になるかどうかというのは、その子が持って生まれてきた天命のようなものだと僕は思います。変な言い方をしますが、この子はしっかり面倒をみてくれる飼い主さんを選んであなたのところに来たんじゃないでしょうか」

院長の言葉は、どれだけ私の励ましになったか分かりません。

病気になるなんて思いもしなかった頃

病気になるなんて思いもしなかった頃

ステロイドの効果、そして・・・

少しだけ嬉しいこともありました。
治療から一週間ほど経ち、ステロイドの効果が少しずつ現れ始めてきたのです。
まずブドウ膜炎を起こして赤くなっていた右目から充血が引き始めました。
まだところどころ濁っているものの見た目の痛々しさは和らぎ、さらに喜ばしいことに、キナコの食欲が増進したのです。
体調が悪くなってから受けつけなくなっていたドライフードを食べるようになり、お代わりまできれいに平らげてくれるようになりました。

「とにかく食べられるだけ食べさせて、本人の体力が持つように。抗生剤の注射の何倍もそれは価値があります。」

院長の指示に従い、栄養価の高い療法食も数種類買い求めました。療法食だけでは食いつきが良くないのでお気に入りのドライフードと混ぜながら与えました。
ガツガツとご飯を食べてくれる姿、それがどんなに有難く喜ばしいことであったかを私はこの数日で身に染みて感じていました。

しかし、怖いのはステトロイドの効果は持続しないことです。
長く使えばそれだけ本人の免疫機能を下げることになるからです。
効果が数日なのか、数か月持つのか、それはその猫と薬の相性次第でした。

「できるだけ、効果が持ちますように・・・」

就寝のたびに祈りました。

気づけば2月も半ば。
例年にない厳冬が、日本列島を覆い始めていました。

短毛種のキナコはとても寒がりでした

短毛種のキナコはとても寒がりでした

 

文/こしあんブルー

 

※FIPは研究途上で、まだ不明点が多い病気です。本文は筆者個人の体験談であり、病気の症状や進行には個体差があります。

※本記事は、記者の実体験に基づく記述ですが、それぞれの猫により状況が異なりますので医療行為については必ず獣医にご相談の上、進められますようお願いいたします。(猫報編集部)