ねこラム

がじゅまるの木 ~31日の看猫(かんびょう)日記~ 第二回:「獣医」


本当に今の獣医でいいの?

当時、私には親の代からお世話になっている動物病院がありました。実家で可愛がっていた猫は23歳の大往生でしたし、アズキとキナコの避妊手術もそこで受けさせ、傷跡もきれいでした。けれど、キナコを診せにいくにあたっては悩みました。

というのもその病院では代替わりがあったばかりで、新しく院長になった若先生はとても無口な前院長よりもずっと柔らかな物腰でしたが、その反面、室内飼いでもワクチンは必ず七種を打ったりと判断はいつも人間目線で教科書的なように思えていたからです。

さらに、去年今の家に引っ越しをしてその病院が遠くなっていたこともあり、私は新しいかかりつけ医を探すことにしました。

やってきてすぐ、生後三か月頃のキナコ

やってきてすぐ、生後三か月頃のキナコ

運命の獣医

「先生は怖いけれど腕は確か。すごく動物目線でとにかく熱い先生だから」

職場の上司でありたいへん信頼できる先輩から推薦されたのは、我が家から車で二十分ほどの距離にある動物病院でした。

土曜日だけでなく日曜日も診察しているというのも共働きの我が家にとってはありがたいものでした。

評判どおり週末の待合室は満席でした。キナコの入ったケージを膝に抱えて一時間ほど待ちました。最近の食欲不振が響き、もともと小柄なキナコの体重は2.4キロと先月と比較して0.2キロ落ちていました。

「熱はなし、よく動くし毛艶もいい。けれど、やや体重が落ちてるね」

現れた院長先生は想像以上の迫力でしたが、キナコを触診する手つきはそれは丁寧で優しいものでした。

あいにく避妊手術時の血液検査結果は持参しておらず、初日からあれこれ検査をして猫を怯えさせたくないというのは長くその猫と付き合うための院長の方針でした。

「もしかしたらもう一人の猫に教育的指導をされたのかもしれない。この子はヤンチャそうだから。我が家でもたまに新入りの子が度を超すと古参の子が叱ってますよ。ただし、体重の減少は気になるから、近いうちにまた連れてきて」

条件付きでしたが、院長の言葉はひとまず私を安堵させるものでした。

悲しそうに鳴くキナコ

しかしその晩、夕食の洗い物をしていたときでした。

「にゃおん・・」

切ない声の主は寝室で寝ていたはずのキナコでした。リビングのカウンターに飛び上り、キッチンの私を見下ろして悲しそうに鳴きました。絶句しました。

キナコの右目は異様でした。宝石のように透き通っていたモスグリーンの瞳がオレンジ色に充血して中心は白く濁り、両目の半分が瞬膜で覆われていたのです。

※ FIPは研究途上で、まだ不明点が多い病気です。本文は筆者個人の体験談であり、病気の症状や進行には個体差があります。

文/こしあんブルー

※ 本記事は、記者の実体験に基づく記述ですが、それぞれの猫により状況が異なりますので医療行為については必ず獣医にご相談の上、進められますようお願いいたします。(猫報編集部)