ねこラム

がじゅまるの木~31日の看猫(かんびょう)日記~ 第一回:違和感


それは突然に・・

宝くじはもちろん、懸賞にも当たったこともないのに、愛猫は発症率10%以下といわれる難病にかかりました。五年前の冬のことです。

当時、私と夫は三十代半ば。仕事の責任も増してくる中、早出や残業、さらに出張などをこなしながら、互いを励ましあって日々懸命に働いていました。

そんな私たち夫婦の何よりの癒しは、大事な家族であるニ匹の猫たちでした。一人っ子だったアズキのお友達として迎えたキナコ。二匹の相性は期待以上でした。ふかふかのアズキの被毛にうずもれながら眠るキナコは心から幸せそうな顔に見えました。

アズキとキナコ

最初の違和感

1月末の晩、私が帰宅したのはいつもより遅めの二十一時。

玄関の電気を点けると、突然の明かりに眩しそうに目を細めるキナコがいました。陽気でお転婆な一方、キナコは律儀で生真面目な性格。どんなに遅くなった晩でもお出迎えをしてくれました。

「あれ、どうしたの?」

私が最初に感じた違和感はキナコの前足でした。

左前足はいつものように床につけていましたが、右前足は内側に軽く折り曲げたままチョンと宙に浮かせていました。

「どこか痛いの?」

抱き上げて足全体を撫でるように触ってみましたが、当の本人は大きな瞳をさらに見開き、キョトンとしていました。

室内猫らしく艶々とした肉球にも外傷は見当たりません。

半年頃からぐっと大人っぽくなったアズキとは対照的に、十か月過ぎてもキナコはまだまだ子猫のように天真爛漫。私の帰宅に興奮し、部屋から部屋へと走り回り、キャットタワーのてっぺんによじ登ったかと思うと一気に駆け下りてくるなど、ゴム毬に魂が宿ったかのようなはしゃぎっぷりに私は胸をなで下ろしました。

キナコの「違和感」

四か月ぶりに病院へ

しかし、翌朝のお見送りのときもキナコは右前足をあげていました。

翌々日は新品のオモチャを振っても、お愛想程度にちょいちょいと触る程度で、アズキが楽しそうに遊ぶのを物陰からじっと見ていました。本来なら率先して遊ぶはずなのに。お皿にもご飯が残ったまま。

「やはり何かがおかしい。」

私は週末にキナコを病院につれていくことにしました。

去年の十月に避妊手術を受けてから約四か月ぶりの病院。

「今年は寒いから体調が悪いのかな?」

FIP(猫伝染性腹膜炎)という恐ろしい病魔の存在を知らなかった私は、まだそんな風に思っていました・・・

※ FIPは研究途上で、まだ不明点が多い病気です。本文は筆者個人の体験談であり、病気の症状や進行には個体差があります。

ライター名:こしあんブルー

※ 本記事は、記者の実体験に基づく記述ですが、それぞれの猫により状況が異なりますので医療行為については必ず獣医にご相談の上、進められますようお願いいたします。(猫報編集部)